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Chen, J.; 長谷川 伸; 大橋 仁; 前川 康成; 吉田 勝; 片貝 良一; 坪川 紀夫*
Macromolecular Rapid Communications, 23(2), p.141 - 144, 2002/01
被引用回数:9 パーセンタイル:33.27(Polymer Science)14に下限臨界共溶温度(LCST)をもつポリ(アクリロイル-L-プロリンメチルエステル)ゲルの体積相転移挙動をin situ観察するため、5から60まで温度を徐々に昇温させながらゲル膜を透過したリチウムイオンの電気伝導度の変化を測定した。電解質溶液のみの場合、一般的な性質として、電気伝導度は温度とともに直線的に増加する。ゲル膜では電気伝導度がLCST直下の温度まで増加したのち、急激な低下を示すことがわかった。この低下はL-プロリンメチルエステル基に基づく疎水性相互作用によりゲルのネットワークが収縮したことに起因している。これらの結果から、電気伝導度のin situ観察は、ゲル膜の僅かな体積変化を調べる手段として有用であることが結論できた
廣木 章博*; 前川 康成; 吉田 勝; 片貝 良一*
Polymer, 42(15), p.6403 - 6408, 2001/07
被引用回数:9 パーセンタイル:38.19(Polymer Science)線照射時の温度及び照射線量を細かく制御して合成したアクリロイル-L-プロリンメチルエステルゲルの膨潤-収縮速度を比較検討した。0と40の間の温度変化に伴うゲルの膨潤収縮速度は、ゲル化時の温度に大きく影響されることを見いだした。膨潤状態から収縮平衡に達するのに、LCSTより低温側で合成したゲルでは6時間、高温側で合成したゲルでは1分であることがわかった。また、SEMによる内部構造観察から、LCSTより低温側で合成したゲルは、収縮過程においてゲル表面を形成することがわかった。それに対し、高温側で合成したゲルは被覆を形成せず、多孔構造を保持していた。この被覆の存在がゲルの収縮速度を低下したと考えられる。ゲル化温度がLCSTより低温側では、ポリマー鎖が伸びた状態で架橋するのに対し、高温側では糸繭状態で架橋する。この差異が、ゲルの架橋構造を均一・不均一にし、被膜の形成を引き起こしたと推察される。
Hendri, J.*; 廣木 章博*; 前川 康成; 吉田 勝; 片貝 良一*
Radiation Physics and Chemistry, 60(6), p.617 - 624, 2001/03
被引用回数:33 パーセンタイル:89.46(Chemistry, Physical)アクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)とアクリル酸(AAc)を含むモノマー水溶液系に線を照射した場合、これらのモノマーは重合の過程で架橋反応が同時に進行することが知られている。この放射線重合反応を利用して、コポリマーゲル膜を合成し、温度、pH変化に追従した疎水性、空孔率、カルボキシル基などの変化と金属イオンの膜透過特性について調べた。70/30mol%A-ProOMe/AAcコポリマーゲル膜を用いて、30で金属イオンの透過挙動を調べたところ、リチウムイオンがpH4.75以下で、セシウムイオンがpH4.65e以下で透過しなくなることがわかった。この透過挙動の違いを利用して、リチウムイオンとセシウムイオンを選択的に分離した。
廣木 章博*; 前川 康成; 吉田 勝; 窪田 健二*; 片貝 良一*
Polymer, 42(5), p.1863 - 1867, 2000/12
被引用回数:41 パーセンタイル:79.48(Polymer Science)温度応答性アクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)ゲルの体積相転移挙動を水とアルコールの混合溶媒系中で調べたところ、系中のアルコール成分の増加とともにゲルは、膨潤-収縮-再膨潤-再収縮と体積総変化を示すことがわかった。一方、温度応答性N-イソプロピルアクリルアミドゲルの場合、再収縮挙動は存在しないことが知られている。そこで、A-ProOMeゲルで観察された再収縮挙動の原因を明らかにするため、赤外分光法で解析を試みた。その結果、再収縮挙動は系中のアルコール成分の増加によって、水素結合性カルボニル基の割合が変化するため起こるとわかった。
廣木 章博*; 吉田 勝; 山下 淳子*; 浅野 雅春; N.Reber*; R.Spohr*; 熊倉 稔*; 片貝 良一*
J. Polym. Sci., Part A, 36(10), p.1495 - 1500, 1998/00
アクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)を水の共存下で放射能重合させ、多孔性ゲル膜を合成した。電子顕微鏡観察から、このゲル膜の多孔構造は、A-ProOMeの直鎖状ポリマーのもつ下限臨界共溶温度(LCST、14C)以下では迷宮細孔構造からなることが判明した。この迷宮細孔の形、サイズは、温度によって制御できる。例えば、温度を低温から高温に変化させた場合、孔の形は連続した迷宮細孔から独立した孔に、また、そのサイズは20mから0.02mまで変わる。このような温度応答機能をもつ多孔性ゲル膜の特性を、p-ニトロフェノール(p-NP)の透過から調べた。その結果、迷宮細孔構造からなるゲル膜(10C)からのp-NPの透過定数は0.6010cm/minの値をもつことが分かった。一方、独立した微細孔からなるゲル膜(18C)からのp-NPの透過定数は検出限界以下の値(0.1010cm/min)であった。
吉田 勝; 浅野 雅春; 諏訪 武; N.Reber*; R.Spohr*; 片貝 良一*
Advanced Materials, (9), p.757 - 758, 1997/09
被引用回数:28 パーセンタイル:98.06(Chemistry, Multidisciplinary)イオン穿孔膜にアクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)を放射線グラフトし、温度変化に追従して孔が開閉する温度応答性多孔膜を合成した。A-ProOMeに基づくゲル層は14Cで体積相転移を起こすため、これ以下の温度で膨潤、逆にこれ以上温度で収縮する。この温度応答性多孔膜(10孔/cm)の特性をP-ニトロフェノールの透過から評価した。14C以下の温度の場合、物質の透過は8.210cm/minであった。これに対し、温度が14C以上になると、物質の透過は510cm/minまで増大した。この結果から、物質の透過が温度応答機能をもつゲルの働きによって制御できることが示された。
吉田 勝; 長岡 範安*; 浅野 雅春; 大道 英樹; 久保田 仁*; 小倉 紘一*; Vetter, J.*; Spohr, R.*; 片貝 良一*
Journal of Nuclear Materials, 122(1), p.39 - 44, 1997/00
イオン穿孔技術と新しい機能材料を組み合わせることによって、僅かな温度の変化に敏感に応答するインテリジェント化学弁を調製した。機能材料は、放射線感受性の材料として知られているジエチレングリコールビスアリルカーボネート(CR-39)と温度応答ゲルとして新しく開発されたアクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)のコポリマーからなる。このコポリマー膜へのイオン穿孔の形成は11.6MeV/nPbイオンを照射ののち、6M水酸化ナトリウム水溶液中、60Cで10分エッチングすることにより行った。コポリマー膜中に形成されたイオン穿孔の孔径は、水中において30Cで0.3m、0Cで完全に閉まった状態を示すことが分かった。
吉田 勝; 浅野 雅春; Safranj, A.; 大道 英樹; Spohr, R.*; Vetter, J.*; 片貝 良一*
Macromolecules, 29(27), p.8987 - 8989, 1996/00
被引用回数:53 パーセンタイル:87.39(Polymer Science)円筒状の貫通孔をもつイオン穿孔膜にアクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)を放射線グラフトし、温度変化に追従して孔が開閉する温度応答性多孔膜を合成した。A-ProOMeに基づくゲル層は14Cで体積相転移を起こすため、これ以下の温度で膨潤、逆にこれ以上の温度で収縮する。原子間力顕微鏡による観察から、16Cで処理した温度応答性多孔膜は、円筒状のイオン穿孔(1.3m径)とその表面に被覆された0.3mの厚さからなるグラフトゲル層からなることが分かった。この場合、0.7m径の円筒状の貫通孔が得られた。対称的に、12Cではグラフトゲル層が膨潤するため、孔が完全に閉じた。この温度応答性多孔膜の性能は、p-ニトロフェノールの透過からも調べた。
宮嶋 勝春*; 吉田 勝; 佐藤 宏*; 大道 英樹; 片貝 良一*; Higuchi, W. I.*
Radiation Physics and Chemistry, 46(2), p.199 - 201, 1995/08
被引用回数:6 パーセンタイル:54.86(Chemistry, Physical)パルス的に薬物を放出できる機能性ゲルを放射線法で調整する目的で、14C付近で体積相転移を伴う温度応答性アクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)ポリマーゲルに疎水性のスチレン成分を放射線共重合法により導入し、さらにヘルペスウイルスの治療薬として知られている9--D-アラビノフラノシルアデニン(Ara-A)を包括させた。このゲルは、電子顕微鏡観察の結果から、筆者の命名したポンプ型マトリックスであることがわかった。ゲルからのAra-Aの放出性能を、10Cと37Cの間でサイクルさせて調べたところ、パルス的に薬物が放出されること、放出量はそれぞれ11ng/hと33ng/hとなることがわかった。このような薬物のパルス的放出は、ゲルに含まれるsf組成により制御できる見通しを得た。
宮嶋 勝春*; 吉田 勝; 佐藤 宏*; 大道 英樹; 片貝 良一*; Higuchi, W. I.*
European Polymer Journal, 30(7), p.827 - 831, 1994/07
被引用回数:12 パーセンタイル:50.49(Polymer Science)温度応答性材料の素材であるアクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)と親水性モノマーである2-ヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA)とを放射線共重合させ、得られたポリマーゲルの温度応答挙動を活性化エネルギーEの結果から評価した。収縮プロセス及び膨潤プロセスの両方で、HEMA成分の増加と共にEの減少が観察された。この場合、膨潤プロセスのEは収縮プロセスのそれの約1.3倍大きくなることが分かった。このゲルにヘルペス治療薬であるArd-Aを包括し、薬物放出速度とゲル収縮速度の関係を調べたところ、両者の間に直線関係が得られた。これはマトリックスが収縮の際に水を押し出す、いわゆるポンピング作用を示すことによるとして説明した。
吉田 勝; 浅野 雅春; 大道 英樹; 宮嶋 勝春*; 高橋 康男*; 山中 英寿*; 米澤 宣行*; 片貝 良一*
Makromol. Chem., Theory Simulations, 2, p.377 - 384, 1993/00
アクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)のポリマーゲルは、水中において約14Cで体積相転移を伴ない、この温度以下で膨潤し、この温度以上で収縮する。この体積相転移点は、ゲルをドデシル硫酸ナトリウム(SDS)を含む水系で処理することにより高温側に移動することを見出した。次に、これらの膨潤温度曲線を基に統計モーメント法を用いて、膨潤温度曲線下の面積(AUC)、平均膨潤転移温度(MSTT)、膨潤転移温度の分散(VSTT)を求めた。その結果、AUCはSDS濃度0.3g/dl以上で一定になること、MSTTはSDS濃度の増加と共に直線的に増加すること、及びVSTTがSDS濃度0.2g/dl付近に極小値をもつことを見出した。結論として、モーメント解析法がゲル体積の温度変化に対し有効な評価手段であることを明らかにした。
吉田 勝; 浅野 雅春; 熊倉 稔; 片貝 良一*; 真下 透*; 湯浅 久子*; 山中 英寿*
Drug Des. Delivery, 7, p.159 - 174, 1991/00
アクリロイル-L-プロリンメチルエステル(A-ProOMe)を側鎖基にもつ温度刺激応答性ポリマーハイドロゲルを合成した。このハイドロゲルは低温膨潤・高温収縮の温度応答機能を示す。この場合、応答機能は、疎水性・直鎖2-ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA)もしくは親水性・架橋ポリエチレングリコール#600ジメタクリレート(14G)と共重合させた時、両者のコポリマーハイドロゲルの間で著しく異なった機能発現をともなうことが分かった。poly(A-ProOMe-Co-HPMA)の場合、このハイドロゲルは多孔構造の消失を伴う表面での硬い膜バリア-の形成によって特徴づけられる(表面制御機能)。一方、poly(A-ProOMe-Co-14G)では、表面バリアーの形成は全くみられず、多孔構造を介してのすばやい収縮のみがおこった。(ポンプ制御機能)。このメカニズムについて詳細は検討を試みた。